広く浅く雑多に活動しているブレブレな腐女子「猫田芳仁」がブログをはじめてみました。小説書いたり絵を描いたり、編み物したりしています。
プロフィール
HN:
猫田芳仁
性別:
女性
職業:
よくわからない
趣味:
たくさん
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どうも、吾輩です。
大好きな作品の感想。
「妖魔夜行」シリーズが吾輩は大好きである。
そもそも短編集が好きなのである。その上妖怪ときた。こっちも好きである。しかもこのシリーズは巻末にいつも「妖怪図鑑」がついていて、それを見るのも楽しくて仕方なかった。登場する妖怪は日本の有名なもの(天狗や付喪神)から海外の土着神や都市伝説(妖魔夜行で初めて知った”妖怪”もいた)、作者の創作まで幅広い。昔ながらの妖怪が現代に適応して新たな能力を身に着けている……という場合も多々あり、この「さようなら、地獄博士」に登場する「あの都市伝説」もそのひとつだ。
さて、わざわざシリーズ通してではなくこの話のみを取り上げていることからお分かりかと思うが、シリーズの中で吾輩の一番好きな話がこれなのだ。もっと派手なアクションの回、もっと怖い回、もっと泣ける回もあった。
だが好きな回は断トツで「地獄博士」である。
とにかく、ぐっとくるのだ。
この回はいわゆる「特撮もの」が重要なモチーフとして登場する。たいして特撮に関心がなかった吾輩でさえぐっと来たのだから、往年の特撮ファンであれば噛みしめる想いもひとしおであろう。しかし、知らないからこそズドンときた部分もあったかもしれない。その衝撃はすさまじく、いまだにショッカーの死神博士と混同し「地獄大使、地獄博士……あれっ、地獄が二人いる」となってしまうレベルである。
では、どんなお話かというと。
***
かつて特撮ものが大好きな子供であり、若いころには業界入りも目指した主人公。今は平凡なサラリーマンで平凡な家庭を築いたが、昔のマニアックな作品のソフトを買い集めたりと、特撮そのものへの興味は失っていない。或る時焼き鳥屋で偶然隣り合わせた男が、特撮番組「マグナマン」で悪の組織の首領を演じていた俳優と気付き……。
この導入で、主人公と俳優がその時の番組について語り合っているのが傍目に読んでいても本当に面白い。俳優より主人公のほうが当時のエピソードを覚えていて、俳優が「ああ、そんな話だったね」と思い出して相槌を打つところが大好きだ。それだけなら本当にいい話なのだが、なにぶんこいつは「ジャンル:ホラー」なわけなので。
主人公は俳優を家に誘い、捨てられなかった当時のおもちゃや苦心して自作したフィギュアなどを見せて、俳優もそれに感心する。特撮の世界にまだ未練がある主人公は帰り際の俳優に「妻と娘がいなければ……」とついこぼしてしまうのだが、この手のジャンルに詳しい方ならばおわかりであろう。これが惨劇のきっかけであることに。
マグナマンのシナリオに沿って、娘が、妻が危機にさらされる。主人公は一念発起、攫われた妻がいるはずの場所に向かい、「地獄博士」と直接対決をすることになる……というストーリー。
この話の特異な点としてはやはりアレ。
このシリーズでは「うさぎの穴」というバーを拠点とする妖怪たちが人間に助けを求められたり、もしくは自発的に人間を害する妖怪を退治する、という話が多い。しかし地獄博士回ではあくまで一般人が勇気を奮って怪異に対峙する物語であり、「うさぎの穴」の妖怪は最後にちらりと姿を見せる程度である。何の力も持たない普通の人間が知恵と勇気を振り絞って超常の存在に立ち向かうシチュエーションが好きな人にはたまらない作品であろう。敵対する相手が「子供のころすごく怖かった特撮の悪役」というのもそそられるものがある。また本作は「プロローグ」としてマグナマンの最終話の脚本(もちろん、架空のものである。残念ながら)が存在しており、それが本編に繋がっていい味を出している。
特撮が好きな人にはぜひ読んでほしいし、そうでない人にも是非読んでほしい。これを書くために読み返したが、もう本当に好きすぎてダメ。好き。ダメ。大好き。
なお作中に登場する悪役俳優は、死神博士ではなく地獄大使の中の人をモチーフにしているとのことである。吾輩はマイティライダーズで育ったので地獄大使はアホと刷り込まれてしまっており、その上地獄大使編の本編を視聴していないので本編を観てもその印象が先行してしまいそうでちょっと怖いのだが、もちろん興味はある。
ただし現状では初代ライダー最萌=大佐である。
覆る予定は当分ない。
最後に台無しな話をして、終える。
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